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第6回 六甲縦走キャノンボールラン

日程:2012/03/24-2012/03/25(日帰り)
ルート:須磨浦公園前 - 馬ノ背 - 妙法寺 - 鍋蓋山 - 地蔵谷 - 掬星台 - 神戸ゴルフ倶楽部 - 一軒茶屋 - 東縦走路 - 宝塚ローソン - 塩尾寺 - 東縦走路 - 一軒茶屋 - 六甲ガーデンテラス - 掬星台 - 天狗道 - 菊水山 - 横尾 - 馬ノ背 - 須磨浦公園前

コースタイム:往路:8h 59min 14sec(休憩時間を含む)
:復路:10h 41min 11sec(休憩時間を含む)
距離:往路:44.895km
:復路:43.755km
累積標高:往路:3,172m
:復路:3,141m
天候:雪のち晴れ
気温:?
湿度:?
目的:キャノンボールラン
敵:170人くらい

ポツリポツリと落ち出していた雨は、にわかに激しさを増していった。頭上こそ黒々とした雨雲が厚く覆ってはいるが、西の空は明るい。スタートまで4時間あるのだから、それまでには上がりそうだ。ただ東六甲縦走路の悪路具合は避けようもない。

17:00
高田屋集合。
集合時間に集まったのはボクとシンちゃんとエーちゃん。
生からはじめ、芋湯割り、お地蔵さんの日やから1杯だけ100円呑んでや、の麦をまた湯割りでいただく。アテはいかなごふるせ。
5時半過ぎにキャバクラさん。それから遅れること10分くらいでケンケンさん、6時を廻るころ見送りにサヤカが現れた。
体も温もりいい感じに緊張が抜け、6時半に店を出る。雨は上がっていた。支払いは、1,200円也。

19:28
須磨浦公園到着。
この電車でないと集合に間に合わないのだが、降りた客はボクたち以外になし。改札の外には一人だけ。それでもスタート9時までには70人近くが集まった。
11時半スタート組も19人ほどいる。六甲山全山縦走往復112km(公称)をしようというバカが90人も集まるなんて驚きだ。

21:00
キャノンボールランレギュラー組スタート。
レオちゃんマンの開会宣言にユッキーの合図でスタート。
ロールアウトのカト―さんや東京遠征組はあっという間に暗がりへと消えていってしまった。

21:53
馬ノ背通過。
馬ノ背に灯る幻想的な光景にカメラを構える。
ここまで一緒だったシンちゃんとヨシズと別れ、キャバクラさんに抜かれて、エーちゃんとともに進む。


22:24
妙法寺到着。
ここ2週間仕事が忙しくて絞り込めなかったエーちゃん。体が出来ていないので後続を待ちます、先行ってください。と別れ、トレイルランナー二人の後を追うもジワリジワリと引き離されて、単独行に。
見慣れたルートも暗闇の中では、全くの別物に見えたりしてペースが落ちる。鍋蓋の麓でアミノ酸を補給しようと思うが、指先が思うように動かない。ジェルとトレイルミックスで塩を補給しもって登る。

00:33
鍋蓋山山頂到着。
山頂には三つの影が。誰かな?と思い近寄ると、キャバクラさんと東京組が二人であった。
中腹でバナナのエイドを受け、大龍寺でシンちゃんヨシズと再び合流。天狗を上がるというキャバクラさんに別れを告げ、地蔵ルートへ向かった。

01:13
地蔵谷通過。
日中でも薄暗い地蔵谷は、夜においてなお暗い。チラチラと降り出す雪に、動画撮りたいから、とヨシズが後ろへ回る。
自分の息遣いしか聞こえぬ静寂の中に、短調のクラシック音楽が流れる。なんでクラシックやねん、映画やったら遭難しに行くシーンやわ、とシンちゃんの選曲にツッコミを入れる。今にして思えば、それはあれへの予兆だったのかもしれない。
雰囲気変えるわ、とヨシズが「おっぱい占いの歌」を歌いながら先へ進む。そしてまさかのロスト。今来た路を引返し、正しきルートを辿った。

02:11
掬星台到着。
一層激しくなった雪は、東屋の中まで容赦なく吹き込んでいた。
階段があと二段あったら辿り着かれへんかった、とシンちゃんはハンガーノック寸前。コーンスープ缶が売切れていたら死んでたわ、と次々に缶を空けていくシンちゃんの回復を待つ。ボクもソフトシェルを置いてきてたら死んでたわ、とコーンスープ缶を開けた。

03:21
神戸ゴルフ倶楽部通過。
見る人が見ればわかるねん、とヨシズが熊の絵に添えカンバレと新雪に描いていく。インナーにソフトシェル、ウインドブレーカーに短パンといった薄着でも走り続けている限り寒さは感じないから、意外とご気楽である。ただ、5分と動かずにいれば命の保証も出来ない状態なのには変りなかった。今回は全然別の意味でのサバイバルレースと成りつつあった。

04:05
一軒茶屋到着。
路に迷っていた大阪のランナーと合流し、一軒茶屋前でぜんざいのエイドを受ける。この温もりでまた頑張れる、と思うのだが、白一面となった県道16号は圧雪凍結しておりろくに走ることもできない。

04:17
東縦走路通過。
5m離れたら、みっちゃん何処におるかわからんわ、と云われるほど暗い何世代も前のボクのヘッデンは、寒さによるバッテリー消耗から、点けているのかどうかすらボクも判断できないほど暗くなってしまっていた。ハンドライトに至っては、100均のLEDライトなのでその暗さにも折り紙付き。無いよりはましかも?くらいの存在でしかない。
置いていかれたらマジ遭難だぞ、必死に追いかけ足を滑らせ左脚に血をにじませる。よくつまずくのはヘッデンが暗いからやな、明るいの買うわ。今頃気づくな。なんて云っているうちに夜が明けた。

05:59
ローソン着。
まずビールで前半戦の祝杯をあげ、カップラーメンを啜りこみ暖を取る。
そうして待つうちに始発が到着。続々とハーフな人たちが集まりだしてきた。
下がり始めた右足のアーチを支えるようにテーピングをし、ネオパスタノーゲンを膝に塗りこむ。馬の薬がないと歩かれへんから後半もみっちゃんと一緒に行くわ、と言わしめるほどよく効く。これがなくては完走などありえなかったとつくづく思う。




07:35
キャノンボールランハーフ組スタート。
恒例のアキトの宣誓でモッコリ。
ついさっき縦走してきたとは思えないほど疲労も痛みもない。むしろ須磨浦公園のスタートより調子がいいくらいだ。
昨夜の嵐をすっかり忘れてしまうような青空。キャノンボールランとは思えぬ最高に天気に、女の子たちとキャッキャキャッキャしていこうと誓った。

08:04
塩尾寺
水道筋衆再集合で東縦走路に入る。と云ってもマイを待つアキトとハーフスタートに間に合わなかったメンバーを除いて、である。

08:07
東縦走路通過。
この12km間でそれぞれの走るスピード、体力、思惑、乗り物などでいくつかのグループへとバラケていった。
ボクはサヤカとメグとタムとのグループ、ハーレムうまか棒だ。でも当初の目論見通りキャッキャキャッキャして行けるほど甘くはなかった。ボクはあくまでも完走が目的でタイムなんてどうでもよかったのだが、彼女たちは違っていた。前回の道迷いによるDNF。打上げに参加できずに熱燗十六合を抱え涙にくれた悔しさをバネに十時間切りの目標を掲げていたからだった。
そしての東縦走路取付きで2時間06分ってタイムは悪くない。十分狙えるペースだった。

09:52
一軒茶屋到着。
一軒茶屋エイドでにごり酒とコーラをいただく。また日本酒呑んでる、なんて言われるが、ここに山があるようにここにお酒もあるから仕方だないではないか。ボクはタダ酒を見逃して先に進めないくらいには酒呑みなんだから。

指がむくんできたって手をすり合せながらサヤカが呟く。それはアカちゃんのようにぷくぷくとなっていた。昨晩より遥かに気温は高いとはいえ、日陰には雪も溶けずに残り、微かに流れる風であっても剥き出しの肌から体温を奪って霜焼けへと向かわせるには十分であった。ボクはグローブを外し彼女に貸す。メグは自前のをしているから大丈夫だが、タムはグローブを持ってきていないようで素手のまま走り続けている。汚れた軍手の一双でもあればあげたいのだが、あいにく軽量化のため余分なものは持ち合わせていなかった。もっともこの気温の中、キャノンボールTシャツ一枚で平気なタムにはそもそも必要なかったのかもしれないのだが。

10:23
六甲ガーデンテラス到着。
ガクパパと遭遇。
丸山とか街中の道がようわからんから一緒に行ってもいい?とパーティに参加。シニア一位を目指すのだと云う。かつてトライアスロンをやっていただけあってその足取りは軽やか。しかし、なんとなくほのぼのとした感じになりペースが落ち始めていくのが気になる。

11:32
掬星台到着。
さてお待ちかねの熱々カップラーメンタイム。チキンラーメン、サッポロ一番味噌ラーメン、どん兵衛の内からどん兵衛を選びたっぷりと七味をふりかけ、5分間待つ間に梅干し入りのおにぎりを頬張った。
昨晩これがあれば、なんて思いもよぎるが、それは過ぎた想いってもんだろう。毎回エイドを出していただくアキタさんには、ただただ頭が下がる思いである。
鍋には直火の熱燗が湯気を立てていた。喜び勇んで紙コップを握りお裾分けをいただく。今回はまた呑んでるなんて言われない、言わせない。みんなでウメーと廻し呑む。

ここでガクパパとお別れ。のんびりくつろぐボクらに付合っている暇はないとばかりに先に出て行った。そこへ走られへん、というから東縦走路で置いていったヨシズ登場。一軒茶屋エイドで最強の痛み止めインドメタシンを貼ってもらったって嬉しそうに言った。
そしてここでの30分に及ぶ休憩が、この後の予定を散々狂わせてしまうことになるのであった。

13:28
チンタ再度店到着
ロールアウトさん恒例の「走らんかいっ」で走る。「泊まらんかいっ」で止まる。そして天狗で撒いたはずのヨシズが何故かいる。脇道を使わへんかったからその間に抜かれたのだろうか?まあそんなことはいいか。呑もう呑もう、と発泡酒を開ける。まるまる一本呑んだら体が冷え切ってしまいそうなので廻し呑み。アテは具沢山の豚汁。これが粕汁なら完璧なのだが贅沢は言えない。
それからちくびマンに猪に集合写真まで撮ってのんびりし過ぎるくらいに楽しんでしまっていたことが、更に拍車を掛けていったのであった。


14:19
菊水山山頂到着。
菊水山の階段を下りていくと、両手に枯れ枝を杖にしながら下りるアゴ、いやアベの姿があった。痛々しいアゴ、いやアベに声を掛けると、膝が爆発しそや、と言う。アゴ、いやアベもレギュラー組。ここまでは順調に来ていたのだがついに疲れも出たのであろう。お先に、とつれなく先に下りるが薬を塗ってあげれば良かったかな、との罪悪感を抱えながらオンナノコ達を待った。
先にアゴ、いや(以下略)が降りてきたので、ちょっとスパッツ脱げや、薬塗ったるわ、と馬薬をたっぷりと塗ってやる。使わへんのやったらストック貸してや、オレも膝がやばなったら使うねん、とアゴ(以下略)の頼みを断る。
だいぶ楽になったけど下りでピキッてなんねん。小走りで付いてくるアゴ(以下アゴ)をペースを上げて引き離す。
ちょっ待てよ一緒に行こうぜ、寂しいやんけ、なんて言うアゴを尻目に、十時間切りが目標やから、って切り捨てたのは、うまか棒なハーレムを荒らされたくなかったって思いがなかったとは確かに云えなくもなかった。

16:15
横尾到着。
近くに姉が住んでるんすよ、ホットケーキ食いに行きませんか?とマイシンからの誘いも、十時間切りが目標やから、って断る。十時間切り?10時間台違うん?ムリムリ、ってチナッチーに言われるまでもなく厳しい時間になっていたのは確かだった。それでも十時間にこだわったのは、諦めたらそこで試合終了だからだった。
クルミちゃんエイドをとばしてまで、横尾をショートカットする。と、前方に見たことが有るような集団を見つけた。東縦走路で置いていかれて以来、一度も姿を見かけなかったミーやんグループだった。下へ下へと下りて行ったら板宿に出てしまったとかで、こんなに遅れていたのだった。
そんな感じでいつの間にやら、ミーやん、チハル、コウ、ナナエちゃん、東京のランナー、マイシン、チナッチー、サヤカ、メグ、タムにボクと随分と大所帯となっていた。そして先行組に合流した安心感からか更にペースは落ち、10時間以内なんてとんでもない話であって、日没前に到着する、となんともヌルイ目標へと変更したのであった。

16:43
馬ノ背通過。
ウツミさんの横にケイさんがいた。
掬星台から半縦してきたのだと云う。どうりで掬星台で見かけなかったわけだ。まったく山に興味のなかったケイさんまで登らせるとは、キャノンボールの魔力、恐ろしや。

18:16
須磨浦公園前
みんな一緒に、と小学生のりでゴール。結局なんだかんだで10時間40分もかかってのゴールだった。そしてそこには膝の痛み故置き去りにしてきたはずのヨシズの姿があった。何処を彷徨っとったん、なんて言われるがもちろん道迷いなどない。あの辺りでのんびりとキャッキャキャッキャしている間にあのルートで抜かれたのであろうなどと容易に想像できた。悔しくはあるが、キャノンボールはお祭りなので、楽しければそれで良し、って思いの方が大きい。
足を痛め尽くしたヨシズにまで抜かれるのんびりペースだとさすがに足が残っている。ホンマのゴールは菊水山でしたって言われても引き返せるくらいには余力があった。翌日、筋肉痛にすらならなかったってのもこれまでで初めてってくらいにのんびりとした山行だった。かといってこれを独りでなら余裕で10時間を切れたかっていうとまた別の話であって、ここまでやってこれたのもサヤカのオシリに勇気をもらっていたからだった。
だからってわけでもないが、次回のリバースはサガルマータ?チョモランマ?エベレスト?よりも高い山(累積標高8,900mくらいで)へ登る部門を追加して欲しいんだ。

20:00
打上げ
ちくびマンのツッコミ待ちの冗長な乾杯の音頭に誰もつっこまないそんな優しさからスタートした打上げ。
ここ丸一日に渡って行動食といえばジェル系の甘いもの。補給するにもアミノ酸系の甘いもの。と散々それらを食い散らかして辟易していたので、フライドポテトに唐揚げに各種のパスタと、塩味なだけで涙が出そうなくらいに旨い。
そしてようやくホンマモンのビールが飲み放題ときたからには止まらない。生中8杯にカクテル2杯を重ね、24時間耐久キャノンボーラー達と合流し、味香苑にてこれは餃子ちゃうやろって餃子や羊串を楽しんだのであった。


遭遇:ケイさん

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